フォーラムを終えて
今回のフォーラムでは、専門家たちが、介護保険とその利用者との間で、どのような橋渡しが出来るのかを考えることができました。現場のお話をうかがって、徐々にではありますが、利用者がケアマネージャーやホームヘルパーを介して、自分の生活と「すまい」との関わりの必要性や重要性に気づく環境が、できあがりつつあると感じました。
介護保険制度は、住宅改修以外においてもまだ内容的に未成熟な部分があると思います。制度だけでなく、その制度を実行する人たちにとっても、試行錯誤の連続であり、その目的を達成するには未熟である点が多々あることも否めません。しかしながら、今回、立場の違う者が集って、日常生活と「すまい」との関わりを考えることができたことは、成熟に向けての大きな収穫なのではないでしょうか。
日常生活の支援は、介護保険だけで全てを行うのではなく、人々の生活に関わる社会の全ての制度や仕組みの中で、未成熟な部分は補完したり、誰かが掛け渡しをしたりすることで、「日常生活の支援」という目的を果たすところに本筋があると考えます。
そのためには、時々刻々変化していく状況の中で、住宅改修に関係する専門家たちが集い、タイムリーな課題に付いて語り合い、互いの立場や、未成熟な部分を確認できる今回のような場が、来年、再来年と必要であると感じました。
今回のフォーラムと記録が、今後へとつながる一歩となれば幸いです。
平成15年10月20日
特定非営利活動法人 ユニバーサルデザインシステム理事長
大河内昭宏